阿吽の呼吸とは辞書で調べてみると「二人以上で一緒に物事を行うときの、互いの微妙な気持ち。また、それが一致すること。 」とある。飲食店の営業中に、いつもと同じスタッフとオペレーションを回していると、その都度何かを言葉で伝えなくても、相手が自分の次の行動を予測してくれて事前に動いてくれることがある。その営業はとてもスムーズにオペレーションが進み、働いているスタッフもお客様もとても気持ちがいい営業になることがある。特に2〜3名で営業しているお店はそういう場面になる子が多いのではないだろうか。
しかしこの阿吽の呼吸を、新人スタッフがいる場面で行なってしまうと教育的にも営業的にも弊害が生まれてしまうことに気が付かないことが多く見られる。各セクションをすべて教えられているスタッフであれば、その日に決められた担当ポジションを飛び越えて、オペレーションを回しても問題なく、それにそれが「阿吽の呼吸」に繋がることは問題ない。そこに一人でも新人スタッフや、全セクションを教えられていないスタッフが一人でもいると、「この流れでAさんがこれをやってくれているだろう」ということが起きていて、しかしそのAさんは出来ないセクションがあって、行われていると思っていたらそれが行われていなかったということが起こる。しかもそれが、お会計などお客様に直結しているオペレーションで、待たせてはいけないものだったら、お客様の不満や怒りを買ってしまう。
ベテラン目線でいえば、「そんな事もできないの!?」となり、新人目線でいえば「教えてもらってないのに、急に言われても分かりません」となり、お互いの関係性にもヒビが入る可能性がある。また、飲食店ではマニュアル通りに営業をしていても、場面によってはそのマニュアルに反した判断と行動をする必要がある場面がある。しかし、その場面を誰かの明確な指示などがなく、無言で行なってしまうと“マニュアル通り”に動いているスタッフがその場に相応しくない行動をするように見えてしまう。しかも、その際に先輩側が「マニュアルではそうかもしれないけど、こういう場面では…」のようなことを言ってしまうと、それは新人さんをめちゃくちゃ混乱させてしまうことになる。「マニュアルを渡されているが、マニュアル通りにやるべきではない場面を経験がないのに空気を読む」という最上級の難易度のオペレーションが発生してしまう。新人さんが、どこかの場面で間違えた判断で、“マニュアル外”の行動をした時に、また逆に先輩に「マニュアル通りやって!」など注意されてしまったら、本当に悲劇である。
今まで、阿吽の呼吸で無言でスムーズに営業を回していたベテラン勢からしたら、「あの新人さんは空気が読めない」、「あの新人さんは飲食向いてない」、「あの新人さんはマニュアル以外は動けない」などと批判されてしまう。しかし、このような出来事の原因をよく考えてみると、ほとんどはベテラン勢の阿吽の呼吸による「無言のオペレーション」である。この事態を解決するには、マニュアルやオペレーションではなく、スタッフたちの“考え方”を大きく変える必要がある。教育目線でいえば、阿吽の呼吸による「無言のオペレーション」は「先輩勢の指示不足」であると考えて欲しい。
理想のオペレーションとは、指示出す上長がいる場合は、その上長が司令塔となり、場面場面で全スタッフに「あれやって」「こっち行って」と指示を出し、他のスタッフは指示出される前に「あれやります」「こっちにいきます」などと自らの行動を発信することである。その中で、スタッフの自らの判断で、マニュアル外、普段のオペレーション内、外のことをやるという“判断”をすること、させることを阿吽の呼吸で行うことができれば最高である。あくまでも「阿吽の呼吸」が担う箇所は、オペレーションそのものではなくて、オペレーションとオペレーションの連結部分だけである。スタッフ間の連携があくまでも全員の声かけの上にあれば、上手くいけばより関係性を強められ、上手くいかなくても後に「何故あそこでそう判断したの?」などと反省会を行うことができる。これを無言のオペレーションでやってしまうと、聞くにも聞きにくくなるし、上手く行っても“たまたま”な可能性も生まれてしまうので関係性が良くなることはあまりない。
一度、強いチームが出来上がったお店に、新人さんは入れない、馴染めないことがよく起こるのだが、原因はこの阿吽の呼吸による「無言のオペレーション」であることが多い。この新人さんは楽しく働けず、退社することに繋がってしまうし、そのチームは新しいスタッフを強くできないので一人でもベテランのスタッフが退社してしまうと一気にチームが弱くなってしまう。ベテラン勢が気持ちよくスムーズに営業できるようになる「阿吽の呼吸」は考え方、捉え方次第で大きな弊害を生むことがあることを知っていただきたい。
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